「実家の親を訪ねてもインターホンを鳴らしても出てこない」「宅配便が来ても気づかず、不在票ばかり入っている」——高齢のご家族と暮らしていると、こうした『インターホンの音に気づかない・聞こえない』という悩みに直面する方は少なくありません。本人は「鳴っていなかった」と思っていることも多く、家族としては心配になりますよね。
結論からお伝えすると、加齢に伴う聞こえの変化でインターホンの音に気づきにくくなることはめずらしくなく、音量や音色の見直し、光や振動で知らせる機器を足すことで、気づきやすさを高めることができます。あわせて、聞こえにくさが訪問販売や不審な来訪への対応の遅れにつながらないよう、防犯面の備えも整えておくと安心です。
この記事では、高齢の方がインターホンに気づきにくくなる理由を整理したうえで、今日からできる具体的な対策と、不審な訪問への備え・相談先(110番と#9110の使い分け)までまとめました。順番に見ていきましょう。
- 高齢の方がインターホンの音に気づきにくくなる主な理由
- 音量・音色の見直しなど、今日からできる基本の工夫
- 光・振動やスマホ連動で「気づきやすさ」を高める機器
- 自治体の支援制度と、不審な訪問への備え(110番と#9110の使い分け)
高齢者がインターホンの音に気づきにくいのはなぜ?

加齢に伴う聞こえの変化は「高い音」から出やすい
加齢に伴う聞こえの変化では、一般的に高い音から聞こえにくくなる傾向があるとされています。
インターホンのチャイム音は比較的高めの電子音であることが多く、こうした高い音は加齢による聞こえの変化の影響を受けやすいと言われています。本人は「鳴っていない」と感じていても、実際には音に気づけていないだけ、というケースもあります。厚生労働省の情報でも、一般的に40歳代から聴力が低下する傾向があり、75歳以上では約半数の方が聞こえにくさを感じているとされています。
(参考: 厚生労働省「『聞こえにくさ』感じていませんか?」)
生活音や部屋の位置で「鳴っても届かない」ことがある
テレビの音や家事の音、部屋とインターホンの距離によっても、チャイムが届きにくくなります。
テレビやラジオをつけていると、その音にまぎれてチャイムが聞き取りづらくなります。また、玄関から離れた寝室や2階、水を使っている台所・浴室にいるときは、そもそも音が届きにくいものです。聞こえの変化に加えて、こうした生活場面が重なると、「鳴ったこと自体に気づけない」状況が起こりやすくなります。
古いインターホンは音量が小さめのこともある
長く使っているインターホンは、音量調整の幅が狭かったり、経年でスピーカーの音がこもったりして、聞き取りづらくなっていることがあります。まずは今使っている機器で音量を上げられないか、音の種類(音色)を変えられないかを確認してみると、それだけで気づきやすくなる場合もあります。
「聞こえない」は防犯面の不安にもつながる
聞こえにくさは、来訪者の確認が遅れることで、防犯面の不安にもつながります。
チャイムに気づけないと、宅配便や家族の来訪を受け取れないだけでなく、いざ訪問販売や不審な来訪があったときにも、玄関先で相手をきちんと確認しにくくなります。高齢の方を狙った訪問トラブルも各地で注意が呼びかけられているため、「気づく・確認する」しくみを整えておくことは、日常の利便性と防犯の両面で役立ちます。次の章で、具体的な対策を見ていきましょう。
インターホンが聞こえないときに今日からできる対策

まずはインターホンの音量・音色を見直す
お金をかけずにできる第一歩は、今あるインターホンの設定を見直すことです。
多くのインターホンには音量調整の機能があり、機種によってはチャイムの音色を変えられるものもあります。取扱説明書を確認し、音量を最大寄りにする、聞き取りやすい音色に変えるだけでも、気づきやすさが変わることがあります。設定場所がわからない場合は、メーカーの公式サイトで型番を調べると説明書を確認できます。
光や大きな音で知らせる「ワイヤレスチャイム」を足す
音だけで気づきにくいときは、光や振動、大きめの音で知らせる機器を追加するのが有効な手段のひとつです。
市販のワイヤレスチャイム(送信ボタンと受信チャイムのセット)には、来客を大きな音とあわせてランプの点滅で知らせるタイプや、受信機を複数の部屋に置けるタイプがあります。玄関から離れた部屋にも受信機を置いておけば、寝室や2階にいても気づきやすくなります。工事不要で設置できるものが多く、賃貸住宅でも取り入れやすいのが利点です。
音量や光の明るさ、電池式か電源式か、受信機を増やせるかは製品によって幅があります。価格も機能によって変わるため、最新の価格や仕様はリンク先で確認し、置き場所や暮らし方に合うものを選んでください。
スマホ連動・録画付きインターホンで確認しやすくする
買い替えを考えるなら、スマホに通知が届くタイプや、モニター・録画機能付きのインターホンも選択肢になります。スマホ連動タイプなら、離れて暮らす家族のスマートフォンにも来客を通知でき、後から映像を確認することもできます。カメラ付きなら、玄関を開ける前に相手の顔を確認できるため、不審な訪問への備えにもなります。
賃貸でも使える工事不要タイプもありますが、通信方式や対応スマホ、録画の保存方法は製品によって異なります。最新の価格や対応状況はリンク先で確認してください。設置や設定に不安がある場合は、家族が手伝ってあげると安心です。
自治体の支援制度を確認する
聞こえにくさの程度によっては、市区町村の制度を利用できる場合があります。自治体の「日常生活用具給付等事業」では、玄関のチャイムや電話などの音を光や振動に変えて知らせる「屋内信号装置」の給付を行っていることがあります。対象となる条件(身体障害者手帳の有無など)や給付の内容は自治体によって異なるため、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口に問い合わせて確認しましょう。
また、聞こえにくさが気になる場合は、耳鼻咽喉科など専門の医療機関に相談することも検討してみてください。補聴器の必要性や活用については、専門家に相談すると安心です。
- 今あるインターホンの音量を上げる・音色を変える
- 光や大きな音で知らせるワイヤレスチャイムを足す
- 受信機を寝室や2階など複数の部屋に置く
- スマホ通知・録画付きインターホンで家族もフォローする
不審な訪問への備えと相談先(110番と#9110)
来客に気づけるようになったら、あわせて「不審な訪問にどう対応するか」も家族で確認しておきましょう。
いきなりドアを開けず、インターホンやカメラ越しに相手と用件を確認するのが基本です。お金やキャッシュカードの話が出たり、急かしてドアを開けさせようとしたりする相手には、その場で応じないようにと、あらかじめ本人にも伝えておくと安心です。緊急かどうかで相談先を使い分けます。
相手が無理に入ろうとする、身の危険を感じる、その場でお金やカードをだまし取られそうになっているなど、緊急性が高い場合はすぐに110番へ。
「さっき来た訪問販売が不安だった」「怪しい人が来たので相談したい」といった緊急性の低い相談は、#9110(警察相談専用電話)や最寄りの警察署・交番へ。受付時間は平日の日中が中心で、地域によって異なります。
知らない相手がインターホンを鳴らしたときの基本的な対応は、こちらの記事もあわせて参考にしてみてください。

よくある質問
加齢に伴う聞こえの変化は、一般的に高い音から出やすいとされ、インターホンの高めの電子音は気づきにくくなることがあります。ただし生活音や部屋の位置など複数の要因が重なることも多いです。気になる場合は、耳鼻咽喉科など専門の医療機関に相談することも検討してみてください。
まずは今あるインターホンの音量を上げる・音色を変えるのが手軽です。それでも気づきにくいときは、工事不要のワイヤレスチャイムを足す方法があります。光の点滅や大きめの音で知らせるタイプ、受信機を複数の部屋に置けるタイプなどがあり、賃貸でも取り入れやすいのが利点です。
聞こえにくさの程度によっては、自治体の「日常生活用具給付等事業」で、音を光や振動で知らせる屋内信号装置の給付を受けられる場合があります。対象条件や内容は自治体によって異なるため、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口に確認してください。
スマホに通知が届くタイプのインターホンなら、離れて暮らす家族のスマートフォンにも来客を知らせることができ、後から映像を確認できる製品もあります。設定や対応スマホは製品によって異なるため、導入時は家族が設置を手伝ってあげると安心です。
まとめ
高齢の方がインターホンの音に気づきにくくなるのはめずらしいことではなく、加齢に伴う聞こえの変化や、生活音・部屋の位置、古い機器などが重なって起こります。本人が「鳴っていない」と感じていても、実際には気づけていないだけということもあります。まずは今あるインターホンの音量や音色を見直し、それでも気づきにくいときは、光や大きな音で知らせるワイヤレスチャイムや、スマホ連動・録画付きのインターホンを取り入れると、気づきやすさを高められます。
聞こえにくさの程度によっては、自治体の支援制度を利用できる場合もあるので、市区町村の窓口に確認してみましょう。あわせて、来客に気づけるようになったら、不審な訪問への備え——インターホン越しの確認や、緊急時は110番・相談は#9110という使い分け——も家族で共有しておくと安心です。できることから少しずつ整えて、ご本人も家族も落ち着いて過ごせる環境を作っていきましょう。
